《MUMEI》

「‥?」

ふと気が付いて手元を見ると、ルキアがティーカップに手を添えて支えてくれていた。

ぼんやりしていた私は、ティーカップを傾けていたらしい。

「ありがと──」

「いえ、お礼には及びません」

ルキアは、そっとティーカップから手を離して、もう1つ、マカロンを取ってくれた。

「どうぞ、お嬢様」

私がまだ何も言わない内から、ルキアは色々気を利かせてもてなしてくれる。

でも、それだけじゃなくて──。

私を喜ばせようとしてくれているみたい。

たぶんそれが、ルキアにとっても喜びなんだ。

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