《MUMEI》

「もうお1つ如何ですか?」

「ぁ、はい‥」

本当に気が利くな──。

どうして、私が思っている事が分かるんだろう?

「──表情を見ると分かるんです」

「ぇ」

急に返事が返ってきてビックリした。

「じゃあ、今答えたのも‥私の表情から読み取ったの‥?」

「はい」

「───────」

ルキアって凄い‥。

「そんな事ないですよ」

苦笑して、ルキアはまたマカロンを取ってくれた。

「只、お嬢様の事は──誰よりも良く存じております」

「私の‥事‥?」

訊き返すと、軟らかく笑って、ルキアは小さく頷いた。

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