《MUMEI》

「僕は、お嬢様の執事ですから」

「───────」

何でだろう。

‥ドキッとした。

私は、お嬢様じゃないし──。

でも、何だかルキアに言われると‥お嬢様──そんな気がしてしまう。

「お嬢様」

「──ぇ」

「もう少し──紅茶を如何ですか?」

「うん──」

答えると、すぐにルキアは紅茶をティーカップに注いでくれた。

「どうぞ、お嬢様」

「──ありがと」

ルキアみたいな執事がいたら──きっと毎日楽しいだろうな。

ぁ‥、もういるか。

すぐ、目の前に──。

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