《MUMEI》

「本当はねぇ、耳を灰皿にするのもいいかなって思ったんだけど。俺、吸わないからさ。」
アラタの指がまだ新しい煙草で孤を描く。
篝を筆頭に沖島を押さえ付ける。

アラタは美しい火を見ながら何かの儀式のようにゆっくり足の裏に煙草を突き付けていく。
「……グゥ、ムッ……」
沖島は口にティッシュを詰めらていたが、悲痛な叫びを漏らした。

焼けた臭いが鼻につく。

「あはっ、卑しい声。
どんな感覚?」
アラタは楽しそうに片手で口をおさえる。

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