《MUMEI》
父は嗤う
「…………ん……」

男は寝苦しさを感じて起きてしまった。まだ日も昇っていないような時間にだ。

不機嫌になった男は、寝苦しさの原因を探す……必要も無かった。すぐ近くにあった、否、居たからだ。

「くー……すー……」

原因は少女だった。少女は、男のすぐ傍で静かに寝息を立てていた。

「……おい。」

「ふゅ?」

男が揺すると、少女は片目を擦りながら身を起こした。

「ふぁ……おはよぉ……。」

少女はあくびをしながら挨拶する。正直、まだものすごく眠いようだ。いつも起きる時間よりもずっと早いのだから仕方ないが。

「……おはようじゃない。何故お前がここに居る。ちゃんと自分の部屋で寝ろと言った筈だ。」

男は文句を言う。しかし……

「……あれぇ? まだ暗いや……。もっかい寝よー……」

少女はまるで聞いていなかった。それどころか二度寝しようとしている。

男は溜め息を吐いた。

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