《MUMEI》

***

「よっ、ルキア」

「ぁ、ツバサ──」

「ん、何だ? 顔赤いけど」

「な‥何でもない」

俯いた僕を見て、ツバサは何勘付いたらしい。

「さては、お嬢様と──」

「ほ‥ほらツバサっ、もうすぐお嬢様がお帰りになるよ」

「分かってるって。それじゃあ、お疲れさん」

ツバサは笑ってそう言うと、ロビーに向かって行った。

僕は、高鳴る動悸を抑えようと──1つ大きく深呼吸をした。

***

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