《MUMEI》

「かしいな──‥」

実は、うち‥あんましまだこの町に慣れとりません。

こうなるんやったら、ちゃんと調べて来るべきやったんですが‥、何故か、場所はハッキリと分からんようになっとるみたいなんです。

それに、雪は降っとるし、風も冷たいし──。

「どないしよか‥」

「──お帰りなさいませ、お嬢様」

「?」

今、何か聞こえたような──。

「お嬢様、お荷物お持ち致します」

「──ぁ」

隣りにおった。

ひょっとして──こん人‥お出迎えしてくれる人?

こないに寒いのに──よう頑張ってはるなぁ‥。

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