《MUMEI》

今思たら、うち──執事喫茶に来たんは初めてや。

もっと厳格そうなとこかと思て緊張しとったけど──結構寛げる。

何やろ‥、家に帰って来たみたいな安心感がある──。

ツバサ君も、ずっと前から知っとるような気ぃするし‥。

不思議なお店やなぁ。

それに──‥。

「お嬢様?」

「ふぅ──、あったまってきた」

「今日は寒いですよね〜」

苦笑しながら言うてから、ツバサ君は、

「──ぁ」

て言うて窓の方を見た。

「どないしたん?」

訊いたら、

「雪降ってきましたよっ」

ツバサ君は、むっちゃ嬉しそうに言うた。

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