《MUMEI》
決断
「惇おかえり」




「え?あ、……−−−−−、ただいま……」

鍵を開け玄関扉を開けた瞬間なんともいい匂いが鼻を擽った。





キッチンに立つ隆志。



お玉を片手に持ち笑顔で俺を見ている。

「たまには俺が作ろうかな〜って、先風呂入っちゃえよ、まだ出来ないから」




「…隆志 」





全く自炊に興味がない隆志がキッチンに立つ光景に唖然としていると




「なにびっくりしてんだよ、俺だって多少出来るって!ほらそんなとこ突っ立ってねーで!」







裕斗んとこでシャワーを浴びているにもかかわらず、せっかく隆志が湯舟まではってくれていた風呂に俺は…入った。





俺が好きな熱めの温度、



なんの香りかわかんないけど、何だか落ちつく乳白色の入浴剤。










「のんびりしてたな〜、でもちょうど出来たとこ」





髪をバスタオルでゴシゴシ拭きながら隆志の姿を追う。





隆志はテーブルに土鍋を置いて、わざわざ買ってきてくれたのか冷蔵庫から瓶ビールを出した。

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