《MUMEI》

どないしたら作れるんやろなぁ、こないに美味しいもん──。

今度──教えてもらおかな。

「ぁ‥」

そろそろ帰らな。

カフェラテも飲み終わった事やし──。

「?」

立ち上がろうとした瞬間、間を見計らったみたいにして、そっと椅子が引かれた。

「おおきに」

至れり尽くせりやな──。

「ぁ、せや‥コート‥」

「少々お待ち下さい」

「?」

「──どうぞ」

「ぁ‥」

持って来てくれたんや。

「おおきにな」

「───────」

「ツバサ君?」

「!?」

「おおきにな、楽しかったで」

「──はいっ、ありがとうございますっ」

ツバサ君は、ペコッとお辞儀をして、

「お気をつけて行ってらっしゃいませっ、お帰りをお待ちしております」

元気よく、そう言うて見送ってくれた。

満面の笑みを浮かべて──。

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