《MUMEI》

「お嬢様はありのままでいらして宜しいのです」

「ありのまま‥?」

「はい」

「っとあの‥訊いていいっスか?」

「はい、何でもどうぞ」

「何で──アタイに色々してくれるんスか?」

「私は、貴女様の執事でございますから」

「‥ぇ」

シツジ‥?

シツジって‥何だ‥?

お嬢様の世話役‥って事か?

‥っつー事はつまり‥、ここはお嬢様になれる店って事か。


──やっと分かった。

だからこんなに豪邸みたいな店なんだな──。

じゃあ‥ここにいるのって全員シツジか‥?

うん、そうみたいだな‥。

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