《MUMEI》

「お嬢様──大丈夫ですか」

「‥‥‥‥‥‥‥」

‥大丈夫じゃねぇ‥。

アタイどーしちまったんだろ‥。

何だってこんなに心臓うるせぇんだろ‥。

──分かんねぇ‥。

分かんねぇけど‥ヤな感じじゃない。

どっちかっつーと‥いい感じかも。

うん──。

「ふぅ‥」

何か久々にゆっくりしてんな、アタイ──。

こんな風にジッと座ってるなんて、まずなかったし。

ましてやこんな豪勢なヤツ食った事ねぇし。

何もかも、アタイにとっては初めての事。

でも、楽しい。

ちょっと位、お嬢サマでいてもいいかな、って思う。

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