《MUMEI》

 MP財団金属加工研究室 
ドアに貼られた閉鎖[クローズ]の文字に驚く栄一 
急ぎ足で根元博士の元へ向かう 


MP財団金属合成研究室 

全身を銀色の服装で固めた男たちが中央で慎重に作業している 
上段に設けられた司令室にはその様をじっと見つめている会長のJ クレイトンと何故か米国国防省の長官 ハミルトンの姿があった 
「長官… これで超低反発素材と何層かの金属合成に成功すれば……アメリカの戦略は大きく変わりますな… 」 クレイトンは自信満々に胸を張って長官のハミルトンに語りかけた 

「国防予算の配分もガラリと変わるでしょうな… 」 
ハミルトンは顎をさすりながらニヤリと薄笑いを浮かべてクレイトンを見やった  


根元博士の部屋 


デスクで本を読む根元のもとへ 息を弾ませながら
栄一がやって来た…。  

「博士! 加工研究室は閉鎖ですか ? いつ決まったんですか ?…ユカ…いや…香野君はこの事を知っているんですか…?」 
栄一激しい口調で 根元を問い詰めた… 


根元は落ち着いていた 

「やぁ…田ノ倉君……丁度私からも話しがあったところだよ…まぁ そこに掛けたまえ…」 
根元はそう言い終えると老眼鏡を外しソファーへ腰をかけた 

「実は…わたしも会長のクレイトンから急に言われたんで正直とまどっているんだよ……」  
根元は怪訝そうな表情をしていた 

「それは……博士いつの事ですか ? 」 

根元は考え込むように 
「…あのディナーの翌日だよ………クレイトンから電話があってね……なんでも国防省から要請があるから来てくれと言うんだな… … 」 
栄一はすかさず 「国防省…? 」 

「ああ………なんでもあの石の成分の抽出に成功したので……これからはウチで秘密裏にやりたいと…言うんだよ……まぁ…このプロジェクト事態…国防省の依頼を受けてだからね……」 
根元はそう言い終えると苦笑いしながらキッチンの方へ向かった 

「田ノ倉君……何か飲むかい……」 

「あ…いえ…先生けっこうです…… じゃあ……我々は…もう………」
栄一は何か自分たちの知らないところで…蝶々のサナギが密かに開くような奇妙な画策を感じた……

「ところで……博士………あの合成室では何の研究をしているのでしょうか…?…」

「……何れ……君にも……」
ポツリと言い掛けて止めた根元は…しばらく無言のままコーヒーを注いでいた 。

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