《MUMEI》

彼の話によれば‥私は突然目を回して、頭からコンクリートの床に倒れたんだそうです。

幸い、石頭なお陰でケガはせずに済みましたが──。

ぇ、何で倒れたのか‥ですか?

だって‥、須藤君近いんですもん。

王子様な顔であんなに近付かれたら、卒倒してしまいます‥。

須藤君、自分では気付いてませんが──‥かなりイケメンなんです。

自分では、全然気付いてませんが──。

「テメー」

「!?」

「だから食っときゃよかったんだ」

「?」

飴の事ですか?

私が卒倒したのは、飴を食べなかったからじゃなくて、須藤君が近かったからなんですが──‥言わない方がいいかもですね、たぶん‥。

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