《MUMEI》

***

「チヒロ」

「? タクトか」

「お嬢様はどうだった?」

「──喜んで下さったようだ」

それとなく答えると、タクトはニコリと笑った。

「流石はチヒロだね」

「俺はまだまだ半人前だ」

「チヒロさん、ほんとに自分に厳しいですね」

苦笑して言うと、タクトは、俺の肩に手を置いて──

「たまには息抜きもして下さいね?」

そう囁い、てロビーへと向かって行った。

「───────」

──まだ手の平に残っている、温もり。

ちょっぴりお転婆なお嬢様がお帰りになられるのを、楽しみに待つとしよう。

***

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