《MUMEI》 目が慣れてきた頃、 「お帰りなさいませ、お嬢様」 そんな声が、幾重にも重なって聞こえた。 その方を見ると、きっちりとした格好の男達が、左右に並んで私にお辞儀をしていた。 「───────」 私はただ、茫然と立ち尽くすしかない。 まだ、状況が上手く飲み込めない。 何なのかしら、この人達は──‥。 「お嬢様、どうぞ──こちらへお掛けになって下さい」 「‥‥‥‥‥‥‥」 言われるがまま、席に座る。 真っ白なクロスが掛けられたテーブルには、金色に光るベルが置かれている。 手元には、メニュー表。 「お決まりになりましたら、こちらのベルをお鳴らし下さい」 前へ |次へ |
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