《MUMEI》

私は空ろな目で、メニューを見つめていた。

何を飲みたい訳でも、食べたい訳でもない。

ただ、何かが足りない、と思う。

──けど、何が‥?

そういえば、さっきの人──‥これで呼んだら来てくれるかしら。

まだ何も決まっていないけど‥呼んでみる事にした。

言われていた通り、ベルを鳴らす。

「───────」

「お呼びでしょうか、お嬢様」

そう言って頭を下げたのは、さっき私を案内してくれた人だった。

「何に致しましょう?」

「すいません、ええと‥」

「──畏まりました」

「‥?」

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