《MUMEI》

女の子の幽霊は千秋を見るとにっこり笑って手招きをして来た。

千秋は何が何だか分からなくなってフラフラと女の子の幽霊の方へ行こうとした。その時。

「千秋っ」

とよく響く高い声が聞こえた。聞きなれた声だ。

千秋は正気に戻って振り返るとそこには幼馴染みの実羽がいた。実羽とは赤ちゃんの頃からの仲だ。
気が強くて可愛いからクラスでも人気がある。

「あっえっと。ちー(千秋)のお母さんに聞いて心配だったから。変な噂流れてるし。」

実羽は息を切らしている。走って来たのだろう。

「変な噂って?」

「あっ昔ね。この桜の下で死んでた女の子が居たの。屋上から落ちたみたいで。それが死因は自殺みたいなのよ。女の子はいじめられていたのかもね。」

実羽は悲しそうな顔をしながら桜を見た。


「帰ろう。」

千秋は桜を見ながら歩き出した。

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