《MUMEI》

「───────」

「如何でしょう?」

「──甘い‥」

それに、何だろう──。

幸せな気分。

‥幸せ?

「『幸せ』‥」

「貴女様がお捜しになられていたものですよね?」

「──ぇ」

私が‥捜していたもの‥?

「──そっか‥」

そうだったんだ。

私が足りないと思っていたのは、これだったんだ。

だけど何故‥この人は──タクトさんはそれを知っていたのかしら。

不思議な人──。

まるで、私の事を見透かしているかのような。

この黒い瞳には、私自身ですら気付かない事すらも、映っているのかも知れない。

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