《MUMEI》 「近くに──広場がありましたよね、確か」 「うん」 「お天気が良ければ、そこに行ってみませんか?」 「そうだね、楽しいかも」 お弁当でも作ろうかな──アキラ君の為に。 色々考えながら、紅茶のグラスを持ち上げる。 そういえばアキラ君──和食が好きだったっけ。 ──よし、じゃあ和食のお弁当作って持って行こう。 いつもはご馳走になるばかりだから、たまには私がご馳走してあげるっていうのもいいかも知れないし──。 「お嬢様?」 「楽しみにしててね」 そう言ったら、アキラ君は一瞬キョトンとしたけど、すぐに笑顔になった。 「──はい、お嬢様」 前へ |次へ |
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