《MUMEI》

「‥あれ、シャンデリアの明かり──変わった?」

「ぁ‥、お気付きになられましたね」

「前は黄色っぽい光だったよね」

「はい、より暖かみのある雰囲気になるようにと思いまして」

「そうなんだ──」

色々、考えてるんだな。

「花瓶の花も変わってるね」

「はい、お嬢様のお好きな花を摘んで参りました」

「──ふふっ」

「お嬢様?」

「ぁ、ごめん──嬉しくて」

「それは何よりでございます」

私が笑う度に、嬉しくなる度に、アキラ君は喜んでくれる。

そして──その喜びが、私の喜びになる。

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