《MUMEI》

 BAR 「チェリー」轣@


「ねぇ  ママ…男はいいわね……わたしが男だったら……世界中を飛びかって仕事してやるわ…… 」 
桜は水の入ったグラスを見つめながらそう言うと…大きく…うぃ〜とゲップした 
貴子はそのグラスに水を注いでやりながら… 
「…あら〜男の方がたいへんよ 外へ出たら敵だらけで…  」 
 そう言うと貴子は店の灯りを消してグラスや洗い物の片付けをしながら… 
「桜ちゃん どう 仕事…うまくいってる ? 

桜の顔はまだ寝起きのままだった 
「……うん  …… 
引き受けたのはいいんだけどね…… 」 
貴子は洗い物をしながら
「あなた……経験ないでしょ… はじめから難しいことくらいわかってたのに………でも まだはじめて1ヶ月経たないじゃない… …まだまだよ!いろいろあるのは……… 」 
そう言うと貴子は洗い物が一通り片付いたのか
ふぅ〜と大きなため息をひとつついて桜の前に腰を下ろした 。 

「よし! わたしも飲むぞ!  」 

桜は カウンターに頬杖をつきながら……まだ寝ぼけているのか憂うつなのか……口を思い切り突き出したままボーとしていた 。

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