《MUMEI》 「‥ごめんね、さっき──」 「何を仰いますか」 「‥?」 「何もお謝りになられる必要はございませんよ、お嬢様」 優しく笑って、アキラ君はそう言ってくれた。 その表情は、あの日から変わらない。 「──さぁ、どうぞ」 「ぇ」 目の前には、新しいアイスティー。 「ありがと──」 親切過ぎる位、優しい。 「ほんとに──ありがとね」 「光栄でございます」 アキラ君──ほんとに嬉しそう。 ──私も嬉しい。 嬉しいんだ。 アキラ君が笑ってるのが──凄く。 前へ |次へ |
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