《MUMEI》

「はい。なので少し──目を閉じていて頂けますか」

「──うん、いいよ」

私は言われた通り、目をつむった。

ほんの、数秒だったと思う。

「開けていいですよ」

アキラ君の声がして、目を開けると‥。

「──ぇ」

ビックリする物が、目の前にあった。

「ぇ、アキラ君、これ‥」

「ずっと、お渡ししたいと思っていました。お嬢様に──」

「ぇ‥」

私に‥?

ずっと‥?

「お受けして──頂けますか?」

「──いいの?」

「お嬢様の為の品でございますから」

「──ありがと」

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