《MUMEI》

 「…べべ〜ん… …」 
突然……通称ビルが琵琶の真似事をはじめたォ


「時は丑三つ紅の刻〜 銀に揺られる小舟に乗って〜〜べべ〜んォ  やってきたのは 森の石松〜べべべ〜〜ん ォ こなたに見えるは〜一人の男〜〜 べべ〜んォ その逞しきかな見事な肉体〜べ〜んォ かのエーゲ海はミノタウロス〜べ〜んォ はたまたアテナイのヘラクレスか〜〜べべべんべんべ〜〜ん ォニ 」 
通称ビルは…まったく目を閉じて首を大きく左右にフリながら〜……寶沁閧ノ興に入り込んでいた ォ  


「(笑)ちょいちょい…オッサンォ 」 
宏介はこの正体の知れないちょっとおかしなボロボロな男にすっかり溶け込んでしまい……つい 口が滑ってしまったォ 。 


「…ん ?  」 
通称ビルは我に還った 

「オッサン?……オッサンは アンタだろーがォ 。 はははぁ〜(笑)」 
このボロボロな小汚い男……通称ビルは 怒ってもすぐに(笑)い返すのが特徴だった 。 


「俺様はなぁ〜こう見えても若づくりなんだよ……はははぁ〜(笑) 」 
宏介にその汚らしい唾がどんどん飛んでいった ォ 

「まぁ いいォ …あのなぁ…そこの石の上にじっと座って動かないお方…… 
ヘラクレスさんはよぅ〜
名前を  幹 健児 と言って……実は 元オリンピック選手で やり投げのチャンピオンだったお方ズラ……  」 

そう言うと通称ビルは… 
急に神妙な顔つきになったが…… もっとも長い髪と髭で ……顔などわからなかった 。

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