《MUMEI》

楓は強張った表情で言った。

恐る恐る見てみると、ロッカーの中には刃物がぎっしり詰まっていた。


「ひぃ!」


私は小さな悲鳴をあげた。

見慣れない、生々しい刃物に怯えたのと、あのウサギが言っていた言葉を思い出したからだ。


『友達の腹を裂く。』


できるわけない。
私は、そう思っていた。

私は怯えていて、楓が刃物の山からナイフを取り出し、自分のポケットに忍ばしたことに、私は気が付かなかった。

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