《MUMEI》

〆華は兼松の鋭い眼差しを無視し、黙ったまま場に晒されている一枚の札に視線を落としていた…。



それは…



秋風に舞う「紅葉」の札だった…。



゚・:*:.。*。.:*:・゚*゚・:*:.。*。.:



12年前…



加奈子(〆華)の4番目の父親は覚醒剤に溺れ、塀の中へと消えていった。



父親の表向きの顔しか知らぬ周囲の人々は、一人残された娘に哀れみの情を寄せたが、加奈子にとってはようやく訪れた安息の日々だった…。



加奈子は施設に入り、地獄のような生活から解放された…





…ように思えた…。

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