《MUMEI》

シグレさんが下がってから、あたしは‥

「‥‥‥‥‥‥‥」

物凄くドキドキしてしまっていました。

あんな素敵な人に手を引いてもらったんだと思うと──夢みたいな気がして。

『お嬢様』って呼ばれる度に、心臓が飛び上がるんです。

こんな気持ち、初めてです──。

何なんでしょう、これは‥。

「──お嬢様、お待たせ致しました」

「!!」

ビ‥ビックリしました‥。

早いですね‥。

「どうぞ、お召し上がり下さい」

「は、はいっ。ありがとうございますっ‥」

わぁ‥、とっても美味しそうです──。

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