《MUMEI》

 「あれ…ってなに?大体彼は生きてるのか?それとも…… 」 
宏介はビルに問いかけてみた 

「生きてるか…死んでるのか…んな事は…ダレにもわかりゃしないって言ってるだろォ しつこいよ…アンタ……(笑) アレって言うのはよ……そこの考えてる幹さんが 後輩を教える事になってからなんだよな……
オリンピック二回も行って金メダル取りゃ…そりゃ誰だって英雄扱いさ 
幹さんだってそうだったぜォ しばらくはテレビや講演会であちこちから引っ張りダコ……女にゃもてるし…カネも随分稼いだろうよエ でもなぁ 人間ってのは飽きるのも早くてよ……あれだけ人気もてもての英雄幹さんも……十年も経ちゃ…そりゃ忘れられるわな…
でも…幹さんは違ったぜォ
何せ 人気女優と結婚して子供も生まれ……しまいにゃあ そう…選挙に立候補して当選までしたんだからなォ 国会議員大先生様さな…  」 

「そんな彼が…どうして…?」 
宏介はビル先生のとめどもない前置きにちょっとうんざりしてきた… 

「チッ ォ 結論はまだだよ…コレだから…素人は困るんだよなォ  」 


通称ビル大先生はじっくり聞けよ…と言わんばかりにボサボサの髪の毛を掻きむしったォ  。 

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