《MUMEI》
『いつでも帰ってくるのよ?』
『……行ってきます』
−−−−−−−−−−−−俺は……
俺は………
俺は………
「じゅんッ!!しっかりしろッッッ!!」
「……」
「惇、
じゅん…
」
「たか…し…」
「じゅんー……
よかった
よかった…
よかったよ〜…」
気がつくと、顔を涙でぐちゃぐちゃに濡らす隆志が見えた。
しかしそれは一瞬で、俺は隆志にきつく抱きしめられた。
外に飛び出したつもりが、俺はなぜか玄関にいて、
「置いてくなよー…、一人にしないでくれ、惇、
お前がいないと俺は駄目なんだ…
愛してんだよー…………」
小刻みに震える大きな背中に俺は、腕をまわそうとした……
しかし、何故か力がまるではいらなくて……
なぜか上半身が酷く痛い……
俺は発作を起こして倒れたらしい。
隆志は必死に心臓マッサージをしてくれていたらしく、全身汗だくだった。
そっと抱え上げられベッドに降ろされて。
涙を必死に袖で拭いながら、それでも涙が止まらない隆志に俺は、やっとの事で、
声になってたかわからないけど
大丈夫だからと言って
ありがとうと言って、
俺はそこから意識が途切れた。
気がつけば病室のベッド。
腕には点滴。
そして
隆志が傍にいてくれていた。
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