《MUMEI》

「お礼を申上げるのは私の方でございます」

「ぇ?」

何でシグレさんが‥?

「えっと‥」

「私にとっての喜びは──お嬢様のお側に居させて頂く事、おもてなしをして差し上げる事。そして、笑顔になって頂く事」

「シグレさん‥?」

「ですからお嬢様──有り難う御座います」

「───────」

「さぁ、どうぞ続きをお召し上がり下さい」

「ぁ、ハイ‥」

シグレさん──ほんとにカッコいいなぁ‥。

自分の事よりあたしの事──。

どうやったら、そんな風になれるんでしょうか。

あたしも、シグレさんみたいになれるでしょうか──。

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