《MUMEI》 ピンクのパジャマ事件が解決して、愛梨は再び一人暮らしの生活に戻った。 ブログも懲りずに続けているが、名指しでの風刺はやめた。 早朝。 まだ5時だ。休日の朝。 愛梨はピンクのパジャマを着ていた。ベッドから眠そうな目で出ると、冷蔵庫を開けた。 「あれ?」 飲み物がない。少し喉を潤してからまた二度寝したいので、愛梨はピンクのパジャマのままサンダルを履いた。 寝ぼけているが、鍵と小銭入れはちゃんと持っている。 アパートの目の前に自動販売機があるが、一応鍵を締めて階段を下りた。 早朝とはいえ、新聞配達やジョギングをしている人はいる。とびきりキュートな愛梨が、ピンクのパジャマ姿でジュースを買っている。 皆ドキッとして振り向いた。 当の愛梨は頭をかきかき無頓着だ。水たまりを見て欠伸をした。 「夜雨降ったんだ?」 そのとき、改造車が猛スピードでカーブを曲がり、愛梨の足に水を引っ掛けた。 「あああ!」 冷たい。水たまりで徐行は常識だ。愛梨は激怒して空き缶を車に投げつけた。 「バカもん!」 命中してしまった。車は急ブレーキを踏んで止まる。愛梨は焦った。 改造車からゾロゾロ少年が降りてきた。 「ヤバい」 愛梨は走って逃げた。 「待てこらあ!」 見たところ高校生か。見るからに不良少年だ。7人はいた。 年下のガキに謝るのは悔しい。愛梨は必死に逃げた。 捕まれば謝るしかなくなってしまう。水をかけた向こうが悪いが、脅されたらどうしようもない。 こっちはパジャマ姿だ。ブラはしていない。脱がされたら大変だ。 「止まれ止まれ!」 サンダルだから速く走れない。駐輪場が見えた。愛梨は駐輪場に駆け込んだ。 行き止まり! 「しまった!」 すぐに引き返そうとしたが、少年たちがゾロゾロ入って来た。 「テメー、何人の愛車に空き缶投げてんだよ!」 愛梨は生きた心地がしない。 「水たまりに気づかなかったの?」 愛梨は怖々聞いた。しかし少年たちが迫って来る。 「何!」 「びしょびしょだよ、ほらあ」 愛梨は足を見せた。 少年たちが淫らな目で愛梨を見る。 「それよりお姉さん、何でパジャマなの?」 愛梨は足がすくんだ。 「やっちゃう?」 「やっちゃおうか?」 少年たちが掴みかかる。愛梨は慌てた。 「ちょっと待って!」 押し倒された。容赦なくパジャマを脱がしにかかる。愛梨は叫んだ。 「やめて、わかったから、わかったから!」 「何がわかったんだよ?」 「ごめんなさい」 「謝ったってダメだよ」 (どうしよう) 「許してください」 「許してほしい?」 「はい」 「じゃあ車に乗りな」 「え?」 車に乗ったら無事では済まない。愛梨は震えた。 「断るならねえ、すっぽんぽんにしてそのバイクに両手縛っちゃうよ」 愛梨は怯んだ。悲鳴を上げても助けてくれるとは限らない。 大勢の不良少年を見れば、警察に通報してくれるのが精一杯だろう。 パトカーが来る前に車に押し込まれてしまう。 「おい、車に乗るか?」 「乗りません」 「ならこうだよ」 パジャマの下をあっさり取られてしまった。 「キャア!」 見事な脚線美に少年たちは興奮した。上もまくられ白いおなかが見える。 両手を掴まれ、ボタンを上から外される。 「待って、やめて!」 「やめないよ」 裸にされてしまう。 「わかった、車に乗るから!」 「うるせえ、もうおせーよ」 犯される。愛梨はもがいた。 「何やってんだおまえら」 第三者の声に少年たちはビクッとなったが、愛梨に負けない美少女の登場に、淫らな笑みを浮かべた。 (あきらチャン) 助かった。蒼白だった愛梨の顔に、赤味が差した。 「何だよテメー?」 「あたしは格闘技のプロだ。やめとけ」 「カッコイイ」 一人が不用意に手を出した。あきらは鼻の真ん中に左ジャブ。 「あっ…」 今まで喧嘩で負けたことがない男が、経験のない衝撃に、思わずうずくまった。 前へ |次へ |
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