《MUMEI》

兎耳帽子、カボチャパンツ、ベストが全てお揃いの赤いチェックで中はフリルの袖が膨らんだ白いシャツという特徴的なファッションの少年が瞼を擦りながら出てきた。

まあ、なんともこれがぴったりはまっていて、彼の魅力をより引き立たせた。

「おはようございます愛子」少年は天使が微笑みかけるように無邪気に挨拶する。
  きゃわゆい……
私は生唾を飲み込んだ。
年下は元から好きだったけれど、ここまで守備範囲が広かったなんて。
いや、むしろこれが私のストライクゾーン?



「ぼくぅ、あー……何処から来たのかな?
 お姉さん にお名前とお家とお電話番号教えてくれる?」
無意識にお姉さんを強調してしまう悲しい性よ。
取りあえず送り届けよう。それから親が訴えたり好きにすることだろう。

「雁之助です。」

――――渋っ!

「電話はありません。」

分からないのかしら?

「お家はあっちですよ」
雁之助は人差し指を天井に突き上げた。
私の住むマンションはまだ上に住民はいないはずだ。



「――――――ん?ゆっくりでいいから分かること教えてね。」
安心させるため極力笑顔で対応する。

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