《MUMEI》 「可愛い──」 ビスケットの扉の側には、砂糖菓子で作られたサンタとトナカイ。 屋根には、粉砂糖の雪。 昔、絵本で見たような──そんなお菓子の家。 「屋根を──外してみて頂けますか」 「屋根‥?」 チョコクッキーの屋根を、そっ‥と持ち上げてみる。 「──ゎ‥」 中には、色んなお菓子が入ってる。 ──宝箱みたい。 「凄い‥」 ジンジャークッキーとか──星型のキャンディとか──。 「綺麗‥」 「お気に召されましたか?」 私は、大きく頷いた。 「これ──凄いですねっ」 「今日はクリスマスイブですから」 ニッコリして、セイヤさんは中のお菓子を取り出してお皿に取り分けてくれた。 前へ |次へ |
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