《MUMEI》

「どれからお召し上がりになりますか?」

「うーん‥、じゃあ、このクッキーから」

可愛い人形の形をした、ジンジャークッキー。

──小さい頃、作った事がある。

お姉ちゃんと、2人で──。

でも私が作ったのはパサパサで、何だか──乾パンみたいになっちゃって。

チョコペンで顔を書くのも、何だか上手くいかなくて──ちょっといじけちゃったりしたっけ。

懐かしいなぁ──。

「お嬢様──お好きなんですよね、それ」

「──ぇ」

思わず、顔を上げた。

この人は──セイヤさんは‥まるで私の事を知ってるみたい‥。

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