《MUMEI》

執事、っていう言葉──不思議と全然違和感がなくて、むしろ彼が執事じゃないと思う方がおかしいんじゃないか、って気がした。

‥そういえば。

入って来た時に‥彼に似た、少し年上の男の人がいたっけ。

あの人って、セイヤさんのお兄さん‥?

どことなく、雰囲気とか似てるような気がするし──。

「こちらも如何ですか?」

ベルを象ったマドレーヌを1つ、セイヤさんがお皿に乗せて差し出してくれた。

「こちらにはレンゲの蜂蜜を使っております」

「レンゲ──」

それは、私が一番好きな種類のハチミツ。

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