《MUMEI》

ちーちゃんがだいすき……

私はちーちゃんの為に生まれたの。
寒い寒い、夜を越え行き着いた底辺。
暗い暗い、地下の中で私に手を差し延べてくれたのはちーちゃんだった。


ちーちゃんに相応しい人間になる為に這い上がった。

でも、ちーちゃんに近付けなかった。
私をもっと見て、愛して……!


でないと、死んぢゃうんだから……







「ちはなさまああー!」

ああもう、浸っていたのに……羽音が五月蝿い虫だわ。


「これ以上来るな!頭かち割られたいの?」

瓦礫の隙間から一塊、割れた壁を握る。


「千花様がそれを望むなら」


「愚かね、自我の無い動物以下だわ。」

私についてくることしか能が無い。


「……千花様の傍に居られるなら、自我なんてドブに捨ててやります。」

迷いが無い瞳。


「虫に何を言われても届かないわ。」


「届かなくても構いません。俺は千花様の傍に居たいんです……。」

志島螢が座り込む。
私を待つつもりみたいだ。

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