《MUMEI》
愛は会社を救う(32)
一連の質問が、私に近付いた理由を示唆していることだけは間違いないだろう。だがこの調子では、なかなか本題にまで辿り着けそうにない。
私は料理に箸を運びつつ、暫時話しを逸らせて相手の出方を探ることにした。
「そうそう。6か月後と言えば、あの支店、営業所に縮小されるんですってね」
「え?…ええ」
うわの空だった知子が、我に返ったように相槌を打つ。私はとりとめの無い世間話でもするかように、食事をしながら言葉を続けた。
「支店から営業所ですか…。そう言えば、部課制からグループ制に移行したのは、どれくらい前でしたか」
「そう、確か、5年前かしら」
私が手で料理を勧めると、ようやく知子も箸を取った。会話が噛み合いそうな雰囲気が漂う。
「青地さんは、部課制の頃からずっと総務に?」
「いいえ、採用は本社経理部。そこで2年間勤務して、支店には総務課経理係の主任として異動しました」
「入社3年目で主任とは、優秀でいらっしゃる」

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