《MUMEI》




裕斗は椅子に座り、俺の点滴とは逆の手を両手で握ってきた。






真っすぐに俺を見下ろしてくるその顔……





「ほっぺ……どうしたの…?」




俺はいつも通りはなしたつもりが、やっと聞き取れるかどうかの声しか出なかった。




裕斗は緩く微笑み、



「気合い入れてもらった証だから、…気にすんな」


「…………」




「いーから、傍にいるから、ゆっくり休め?」



「………うん……




いなくならないで………」






ぎゅっときつく手を握られ、そのまま裕斗は少し立ち上がり…



カーテンの隙間からの光りが消え、そのかわりに





裕斗の唇が俺に重なってきた。

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