《MUMEI》

──どれ位経ったんだろう。

もう外はすっかり暗くなってしまっていた。

電車の時間があるから──もう行かないと。

「お出かけになられますか?」

「ぁ、はい‥」

──そっと引かれた椅子。

鳴り止んだオルゴール。

「──色々、ありがとうございました。楽しかったです、凄く」

「それは何よりでございます」

セイヤさんは、嬉しそうに笑った。

「セイヤさん──サンタみたいですね」

「?」

「セイヤさんは──私のサンタです」

「───────」

「ぁっ、ごめんなさい勝手な事言って‥」

「──いえ、有り難うございます。嬉しいです」

「嬉しい‥?」

「はい、──とても」

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