《MUMEI》 嬉しい、って言われて──私までそんな気分になった。 こんなに、楽しいイブは初めてで。 こんなに嬉しそうな笑顔を見たのも初めてで。 ほんとに、嬉しくなった。 「では──玄関までお連れ致しますね」 セイヤさんに、玄関まで連れて行ってもらって──帰り際に、小さな紙を渡された。 「これ‥何ですか?」 「後でお読みになって下さい」 「後で‥?」 「はい」 「──分かりました、じゃあ後で」 私は、コートのポケットに紙をしまった。 それから、月と星が照らす雪道へ、ゆっくりと踏み出した。 暫くしてから、あの紙の事を思い出して──ポケットに手を入れた。 紙を、広げてみると。 「‥ぁ」 【Merry Chirtmas】 そう、金色の文字で書かれたメッセージと──明日、どこかへ連れて行ってくれるらしい事が書かれてあった。 私は嬉しく思いながら、また、紙をポケットにしまった。 前へ |次へ |
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