《MUMEI》
まだまだ友達
「休憩終りよ」

「あ、はい! すみません」


店頭に出てきた店長の言葉に、拓磨は慌てて厨房に戻ろうとした。


が…


「ちょっと待った!」

「はい?」


店長が、拓磨を止めた。


(な、何だ?)


店長は、俺達を見ていた。

「あなた達、暇?」

「暇ですけど、バイトはしませんよ」


答えたのは、祐だった。


「呼び込み位、いいでしょ? 拓磨と一緒に」

「だったら志貴だけ置いてきます。行こう、祐也」

「ちょっ…」


俺は、来た時と同じように祐に引っ張られた。


(相変わらずの馬鹿力だな)


掴まれた手首が少し痛かった。


「小河も頑張ってる事だし、二人きりにしてやろうよ」


走りながら、祐が言った。

しかし


「待ちなさい! 私だって、ここに来てまでバイトするつもり無いんだからね!!」


志貴が、ものすごい勢いで追いかけてきた。


夏休み中、バイト三昧の志貴は、呼び込みなどしたく無かったのだ。


「いや、そこは拓磨と二人きりって喜ぶとこだろ!?」


志貴の言動に、祐はかなり驚いていた。


…どうやら、志貴の中では拓磨はまだまだ友達のようだ。

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