《MUMEI》

***

「あれ、お嬢様に差し上げる為に作ってたんですね」

「──ぁぁ。喜んで頂けたみたいだから良かった」

「セイヤさん、器用なんですねぇ」

「君だって苦手じゃないだろう、ナツメ?」

「でも得意じゃないですよ」

「そうかな──」

僕が首を傾げると、ナツメは頷いた。

「ぁ‥俺そろそろ行きますね」

「ぁぁ」

僕は答えて──窓から見える星空に目を細めた。

お嬢様に、楽しいイブをお過ごし頂けたのなら、僕にとって──こんなに嬉しい事はない。

僕は、その為にこの名前持っているようなものなんだから。

──そういえば。

あのメッセージをご覧になって、お嬢様は僕の気持ちに気付いて下さっているだろうか──。

***

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