《MUMEI》
帰り道
結局それから夕方まで、俺は志貴と祐と一緒いた。


その間俺は、砂に足をとられ、一度だけ海に落ちた。


「まだベタベタする…」


(気持ち悪い…)


肌に吸い付く水気を含んだ洋服の感触に、俺は顔をしかめた。


「じゃあ、脱げば?」

「つーか今の祐也かなりエロイ」


帰り道


何故か、俺の両脇には厳と頼がいた。


俺以外のメンバーは、順番に海の家でシャワーを浴びていた。


(別に待っててって言われてないし)


普通に一人で歩いていたら、この二人が追いついてきたのだった。


「確かにエロイな」

「うわっ!」


背中を撫でる指に、俺が驚いて振り返ると


「大、さん…?」

「風邪引くといけないから、早く風呂に入りな。あ、風呂の順番だけど

田中君、俺と祐と一緒に一番風呂ね」

「あ、…は」





「…は!?」


爽やかな笑顔の大さんに、うっかり頷きかけた顔を上げて、俺は呆然とした。


「だってさ、俺と祐なら裸見られても、…今更だろ?」


耳元で響いた美声に、不覚にもクラクラする自分がいた。


「浮気はダメだからね!」


俺達の後ろで、冗談ぽく楓さんが叫んでいた。

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