《MUMEI》
意外な反応
「それは、傷跡を隠す為のものらしいよ」


説明する大さんの声が、静かに響いた。


「祐也、ごめん…」


祐はやっと、自分の失言の重さに気付いたらしい。


「離せよ」


俺の言葉に、大さんも、祐も頼も従った。


「そういうわけだから、俺は一人で…」

「何で? 一緒に入ろうよ」

「は?」


頼の言葉に、俺は耳を疑った。


「刺青したヤツとは、一緒に風呂なんか入れないだろ?」

「それは公共の場だけだよ」

「…嫌じゃないのか?」


忍以外には誰にも見せないと誓った背中を見られて、まず思った事は


『嫌われる』


という事だったから


正直


「嫌じゃないよ」


そう言う頼に


「つーか、かっこいい」


そう、笑う厳に


「綺麗」


そう、照れる柊に


「びっくりした…」


そう呟くと


男性陣から、『こっちのセリフだ』と、笑いながら言われた。


「せっかく、一部だけの秘密だったのに」

「なー」


大さんと祐も笑っていた。


「あ、でも、田中君…」

「?」


皆で風呂に向かう途中、俺は大さんに呼び止められ…


「毛の事はいいの?」


ストレートに、訊かれた。

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