《MUMEI》 もう暗いし、心細くなってきたし‥取りあえずどこか、お店にでも入ろうと思って──明かりに誘われるように、私はある建物に近付いていた。 誰の豪邸か、って思う位、立派な建物。 ほんとにここ‥お店‥? 「──お帰りなさいませ」 「‥ぇ?」 顔を向けた先には、男の人。 それも‥かなり素敵な。 「さぁ、お嬢様──どうぞお入り下さいませ」 何故か、その言葉に違和感はなかった。 ──白い扉が、静かに開く。 「‥‥‥‥‥‥‥」 初めて来る場所じゃない、そう感じた。 「お帰りなさいませ、お嬢様」 そう言った人達の中から、1人──男の子が進み出た。 この子も、初めて見る顔じゃない。 不思議と、みんな知っているような気がした。 この部屋の事も。 シャンデリア、テーブル、暖炉‥。 全部、知ってるような気がした。 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |