《MUMEI》

「何?チカチカする…。」
私は瞼を手で覆う。
掌に違和感
革製の手袋が嵌まっていた。


だけではない!


「ナニコレ!」
私は洗面台で自分の姿を確認した。

胸元がもう少しで放送禁止の黒のボンテージに身を包み、Sの化身となった姿に言葉もない。


「わー、せくちーですよ愛子!」
雁之助が手を叩いて私を褒めた。

「ハマり過ぎよ!玄人さが滲み出て恐ろしいわ!
嗚呼、超脱ぎにくい!
恥ずかしい!」
室内土足厳禁なのに腿まである長いブーツと腰のゴツいベルトが繋がっている仕掛けで上手くはずせない。

「僕はさっきの寝間着姿の方が恥ずかしいと思いますよ?」
雁之助はぽつりと独り言を漏らす。

前へ |次へ

作品目次へ
ケータイ小説検索へ
新規作家登録へ
便利サイト検索へ

携帯小説の
(C)無銘文庫