《MUMEI》

「‥誕‥生日‥」

偶然とは思えない。

ケーキまで用意されているんだから。

でも‥、どうして?

私の誕生日を、彼が知るはずないのに──。

「‥あの‥」

立てられたロウソクは、24本‥。

私の年と同じ数。

「‥あの──‥、?」

【NATSUME】

ナツメ‥?

ナツメ君か──‥。

「それでは──始めましょうか」

「──ぇ」

始める‥?

「‥ゎ」

シャンデリアの明かりが、消えた。

ケーキに立てられたロウソクの光が、ゆらゆらと揺れている。

──と思ったら。

どこからか、ピアノの音が聞こえ出した。

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