《MUMEI》

「お味の方は如何ですか?」

そう聞かれて頷くと、ナツメ君は笑顔になった。

「お気に召して頂けたのなら、何よりでございます☆」

そう言って、彼はティーカップに紅茶を注ぎ足してくれた。

「素敵ですよね、この日がお誕生日なのは──」

「ぇ?」

「素敵だと思いますよ☆」

「そうかな‥」

私は、あんまりそうは思わないけど‥。

「どんな日であっても、生まれた日って大切だと思いますよ?」

「‥そう‥だけど‥」
でも私は、何故かこの名前が気に入らない。

誕生日が、この日だっていう事が‥。

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