《MUMEI》

ケーキは、残り一切れ。

それと、チョコプレートがまだ残ってる。

白いクリームの上に乗った、真っ赤な苺を噛み締める。

──甘くて、酸っぱい。

何か、今の気持ちに似てる。

‥あれ‥?

私──何でこんな気持ちになってるんだろう‥?

「──お嬢様☆」

「‥?」

「プレゼントをがございます☆」

「──私に‥?」

「はいっ。少々お待ち頂けますか?」

「ぁ‥、うん」

プレゼントまであるの‥?

ほんとに‥彼って──ナツメ君って‥何者‥?

『お嬢様の執事ですから☆』

「‥ぁ‥」

──そっか。

『執事』だから。

それだけなんだ──。

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